蔵元のご紹介
宮崎県高鍋市 黒木本店
宮崎空港から日向灘に沿って北へ20kmほど行ったところにある高鍋町は、江戸時代には高鍋藩の城下町として栄え、全寮制の藩校・明倫堂で人材育成に力を注いだ教育の藩でした。近代以降も、県内一面積の小さい自治体ながら、県や国の出先機関、高校、大学などさまざまな施設が集中する教育の町として知られています。そんな土地柄もあってか、若手醸造家が多い宮崎の焼酎蔵の中で、そのお手本として慕われている黒木敏之さんは、農業認定者の資格も持っています。毎日のように畑に出て、作物を見て、生産者と語る。その視線はあくまでも大地に向けられています。
「本来、酒造りというのは、はじめに農作物ありきだったはずです。単なる加工業ではありません。素材が足りなければ輸入すればいい、というものでもない。焼酎とはその土地の農作物が育む文化なんです」。もともと土に根差した酒造りを伝統とする黒木本店では、焼酎製造の副産物を再利用した有機肥料づくりに取り組んできました。それが焼酎モロミ廃液で製造した有機JAS認定の有機肥料『甦る大地』。これが 作物栽培→焼酎造り→廃液原料の有機肥料→作物栽培 という理想的なエコ・サイクルを生みだしています。
「地域の風土や自然とどう取り組んでいくかが大事で、リサイクルのシステムの中で一貫してできるのが、僕らにとっての適正規模。そもそもは『人と大地が一体となった生き方とものづくりを目指す』というきっかけから始めたことですが、ハンパじゃ農業はできません。それは農業法人をやることで身にしみてわかりました。ただ、原料である芋や麦の栽培からやることで、これまで見えなかったものが見えてきたんです。畑の土壌や日当たり、風通しだけでなく、芋であれば種継ぎの仕方、原種からの血統など、原料をそれまで以上に見るようになり、わかるようになった分だけ、よりこだわれるようになりました。原料の品質や収穫率も年々良くなっています。その土地の原料で、その土地の人がつくる。私たちにとっては、よりローカルであることがグローバルになることだと思っています」。
合資会社黒木本店
宮崎県児湯郡高鍋町大字北高鍋776